兵庫県芦屋市、北側に六甲山を望む駅近の好立地に位置する築47年のRC造5階建て店舗付き集合住宅。1995年の阪神淡路大震災でも損傷はなかったものの、月日とともに設備の老朽化や間取りが時代のニーズに合わないといった課題に直面していました。当初は建て替えを検討されていましたが、現行法では現在の住戸数と同等の計画ができないことなどから、躯体以外の内外装設備すべてをリノベーションすることに。入居者の暮らしやすさを追求した間取りや設備を実現するとともに、景観地区の瀟洒な街並みに似合う洋館風の建物に生まれ変わりました。
昭和感漂う、古い2DKの間取りを一新。入居者は1~2人暮らしを想定し、ワンルーム2戸、1LDK14戸の計16戸を配しました。多様化するニーズにも対応できるよう、同じ1LDKでも4パターンの異なるプランとしています。既存のパイプスペースの位置に合わせ、キッチンや水廻りを集約。水廻りのみを床上げし、それ以外はフラットな設計としました。また、1階の既存店舗はそのまま残し、エントランスホールと入居者共用のサロンを新設。サロンには庭やキャットスペースなどを設け、入居者同士の交流の場となっています。
DK
天井や壁、キッチン周りも、オフホワイトで統一。明るく広々とした印象の空間に
2間続きの和室
LDKと洋室を2枚引き込戸で仕切り、ワンルームとしても使えるよう工夫
タイル貼りのトイレと浴室
庭に面した入居者共用のサロン。キッチンやトイレも設け、パーティなどもできる集いの場に
「インフラをすべて見直したい」というオーナー様のご要望を受け、専門チームを結成しきめ細かく対応しました。既存建物の測量調査にあたっては、設計事務所に協力をあおぎ、時間をかけて平面と断面の詳細図を作成。また、既存インフラの把握、役所との協議なども随時行い、新築に近い設備計画を実現しました。オートロック・集合インターホンの新設、PSの確保、給水を直圧方式へ変更、自動火災報知機の新設、最新のテレビ電話インターネットサービスへの更新などによって、入居者の安心感、 快適性は格段に向上しています。
電気水道ガスのメーター位置もバラバラで、継ぎ足しになった配管配線などもむき出しに
共用部に新たにPSを設け、メーターなどを集約。配管配線もすべてやり替え、床下に収めることで見た目にもすっきり
壁はすべてふかし壁とし、外周吹付断熱材を施工。サッシもすべて複層ガラスに入れ替え、建物全体の断熱化を図った
構造躯体は触らずに、装飾部材や模様、素材・塗装パターンで抑揚をつけ、ファサードイメージを一新しました。色目のトーンは抑え、景観地区にふさわしい上品な洋館風の佇まいに仕上げています。また、以前にはなかったアプローチやエントランスホールも設け、安心感や高級感を演出。ここに住まう人にも、近くに暮らす人たちにも、幸せな印象を与える建物デザインを意識しています。
洋館のイメージに改装したファサード。建物全景、素材、装飾、色味に変化をつけている
ファサード北側
ファサード南側
奥まった軒下のアプローチ、エントランスにはオートロックシステムを導入
エントランスからサロンへ続く廊下
共用廊下・階段
用途 | 店舗付き共同住宅 |
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築年 | 1972年9月 |
地域 | 兵庫県 |
各住居間取り | ワンルーム2戸、1LDK14戸 |
工事概要 | 全面リフォーム(内外装、インフラ設備、外構全て) |
工期 | 8カ月 |
延床/リフォーム面積 | 843.75㎡/798.6㎡ |
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構造規模 | RC造5階建 |
地域区分 | 第1種中高層住居地域(60/200) |
設計・施工 | 積水ハウス建設関西株式会社 |
Before平面図
After平面図