築100年の古民家が、温故知新に包まれた快適な住まいに

  • #古民家
  • #木造
  • #断熱(省エネ・エコ)
  • #バリアフリー
  • #二世帯住宅
SHARE
この事例をシェア
  • LINE
  • Pinterest

多雪1mと大変寒い地域に建つ、築100年の古民家住宅。何度かリフォームを重ねてきたものの、経年劣化により隙間風がたくさん入り、家の中でも冬の寒さはとても厳しいものでした。ご夫婦(50代)、お母様(70代)、娘さんご夫婦(20代、完成後にお子さま誕生)の4世代が集え、格好良く・暖かく・安全バリアフリーな家にしたいとのご要望を受け、断熱・気密・通気性を高めた住まいにリノベーション。鳥居のように丈夫な木で井桁組みされた伝統工法の頑丈な躯体はそのままに、古き良き素材を現代建築と融合させることで、「温故知新に包まれる空間」をコンセプトとした快適な住まいに生まれ変わりました。

伝統工法の続き間を最大限に生かし49帖のLDKを実現

頑丈な躯体には一切手を入れず、断熱・気密・通気をしっかり施し、全館バリアフリー化しました。長い年月眠っていた、美しく艶のある梁をすべて晒し、新しい住まいの主役に。伝統工法の続き間を最大限に生かしたLDKは、間仕切りのない49帖の大空間です。中心には、家族が集えるセラミックアイランドのキッチンを配置し、脇には囲炉裏を残して味わい深い空間に仕上げました。ご家族たっての希望であったベルギー製の薪ストーブが建物全体を暖めてくれるとともに、家族の団らんにも花を添えてくれます。

before

伝統工法の続き間(和室1)

伝統工法の続き間(和室2、3)

after

49帖のLDK。差し鴨居上の垂れ壁は撤去し、中の通し貫をあらわに。最大6mの吹き抜け天井が、より一層の開放感を創出します。

リビングには、家族念願の薪ストーブを設置。真冬でも薪ストーブ一台で、暖は十分まかなえます。

囲炉裏で燻され色づいた小屋組みをあらわにすることで、伝統を感じさせながらも今の暮らしに似合うスタイリッシュな大空間に。

排煙窓から広域で採光できるよう工夫。シーリングファンを設置し、温度調節と合わせて癒し効果も演出します。

断熱性・気密性を高めるとともに、デザイン性も重視

築100年の古民家のイメージを壊さないよう、外観は落ち着いた色目の鋼板張りとしました。玄関前の狭く長いガラス張りの風除室は撤去し、スタイリッシュなデザインの風除室に一新。外気の流入や風の吹きつけを緩和するのはもちろん、外観のアクセントとなるよう壁の素材を変えています。建物全体の断熱性を高めるため、天井と壁には高性能グラスウール、床は吹付け硬質ウレタンを採用。開口部には高性能樹脂窓および玄関ドアを設置し、お悩みの種であった隙間風をシャットアウトするとともに、室内の暖かい空気を逃がさないように。また、30cmあった玄関の段差も15㎝とし、上り下りをラクにしました。

before

外観

after

古民家の落ち着いた風合いは残しつつ、デザイン性の高い外観に一新。薪ストーブの煙突位置にもこだわりました。

before

玄関・玄関ホール

after

玄関ホールはなくし、LDKと一体化。玄関の正面部分には、建築当時から使われていた書院障子を目隠しとして再利用。

古き良き資材をいまの暮らしに溶け込むカタチで活用

省エネ住宅設備や24時間換気など先進設備を取り入れ、快適な空間と建物の健康管理にも気を配りました。また、いまでは入手困難となっている貴重な資材に新たな役割を与え、活用できるよう工夫。これは、当社グループが推進するSDGsの目標達成にもつながるものです。当時のままに残した囲炉裏、天井から囲炉裏にたれさがった鉤(カギ)など、薪ストーブを中心とした新しいリビング空間にも自然と調和しています。先代から住み継いできた家が、さらに歴史を重ねて子孫へ渡していけるものに生まれ変わりました。

after

リビングに位置した囲炉裏を一カ所だけ残しました。天井から垂れ下がった鉤(カギ)も当時のままに。

リビングの飾り棚には玄関の式台を利用。あえてミミを前框にし、傷もそのまま残すことで味が生まれています。

洗面脱衣室の間仕切りには、和室にあった欅の一枚板の戸襖を再利用。敷居と合わせ戸車仕様に変更し、開閉もスムーズに。

物件データ

用途 個人用住宅
築年 築100年
地域 秋田県
ご家族構成 6人家族+小型犬1匹
工事概要 全面リフォーム
工期 4カ月
延床/リフォーム面積 194.67㎡/194.67㎡
構造規模 木造伝統工法平屋建
工事費 約3,000万円
設計・施工 積水ハウス建設東北株式会社
before
after
SHARE
この事例をシェア
  • LINE
  • Pinterest