名古屋駅近郊の住宅街に建つ、自動車部品の物流サービスなどを担う企業様の本社事務所。既存建物の西側にあった倉庫を解体し、その敷地にオフィスを新築したいと考えておられましたが、1級河川の下流域で過去に豪雨による浸水被害も出ていたエリアである、三方が集合住宅や保育園などと隣接している、といった考慮すべき点がありました。建築形式としてピロティ形式を用いた3階建てにすることも可能でしたが、隣接する建物への日照に関する影響に配慮した断面計画を提案。また、カーボンニュートラルという言葉が浸透する以前から環境配慮型の建物を目指しておられたことから、太陽光パネルやEV充電、災害時逆充給電用V2Hなどを積極的に採用しています。働く人や訪れる人はもちろん、近隣の方々にも満足していただける新オフィスが完成しました。
新オフィス建設地は、東西に長い長方形の敷地。東側には道路が接道しており、北側には集合住宅、南側は戸建て住宅、西側は保育園が接しています。近隣とのコミュニティを重要視されている企業様であることから、周囲への配慮を徹底。事務所エリアを南側へ配置して高さ3000mmを確保しつつ、冬場でも集合住宅へ太陽の光が当たるよう建物北側の高さを下げた断面計画としました。天井高を抑えた部分は、水廻りゾーンとして利用する設計プランとしています。
北側の天井高を抑えることで、隣接する集合住宅の日照を確保
東面には大きなガラスを配し、明るく開放的な空間を創出
エントランス・駐車場は、道路に面する東側にまとめて
旧オフィスは誰でも事務所内への入室が可能で、情報漏洩の危険性がありました。そこで、綜合警備保障様と協力して1階フロアにセキュリティラインを設定。社外の方が出入りできるフリーゾーンは、エントランスホールから待合、応接室、水廻りエリアまでとし、そこから奥のエリアへは社員証を持たない人は入室できない形式としています。2階フロアは事務所ゾーンとして、社員の方の専用ワークスペースに。また1階には、大人数用の会議室やランチスペースとして活用できる多目的室も設けました。
訪れる人を心地よく迎え入れる、広々とした快適空間をデザイン
会議室は、利用人数や用途に合わせて使い分けられる2部屋を完備
男子トイレ、女子トイレ、多目的トイレをそれぞれ設置
従業員エリアの奥のスペースには、大人数でも利用できる会議室を
豆の形をしたテーブルを配し、さまざまな用途に活用できる多目的室
階段室・エレベーターホールへは、圧迫感の少ない半透明の扉を設置
社員の方のみの専用スペース。ワークスタイルとして、フリーアドレスで対応する必要がないため、固定席タイプのプランを採用しています。
事務室
水廻りエリア
エレベーターホール
当初より、環境配慮型のオフィスとして計画。事業スケジュール的にZEB申請と歩調が合わず申請は行っていませんが、積水ハウス本社の関係部署の方々にもお手伝いいただき、Nearly-ZEB対応を満たした建築物となっています。太陽光パネルの設置はもちろん、屋根は2重折版、外壁はサンドイッチパネル、ガラスはLOW-Eガラス、省エネエアコンにプラスし全熱交換器の設置、EV充電、被地震による災時を想定した逆給電V2Hといった代表的な設備・仕様を完備。さらに、ガラス面の大きい東道路側には日射調節が行える電動ルーバーを設置するとともに、室内にはあかりなブラインドを採用。ブラインドを閉めた状態でも太陽光を取り入れ、室内温度上昇の原因となる輻射熱の影響も抑えられるなど、オフィス作業の効率を高めると同時に、節電にもつながる工夫を取り入れています。
屋根上には太陽光パネルを設置
電動ルーバーオープンの状態
電動ルーバークローズの状態
オフィス内は、企業様のコーポレートカラーであるオレンジとブルーをポイントに使い、クラシカルなデザインに
用途 | 事務所 |
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築年 | 2023年1月 |
地域 | 愛知県名古屋市 |
工事概要 | 新築 |
工期 | 8カ月 |
延床/リフォーム面積 | 676.24㎡/767.29㎡ |
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構造規模 | 鉄骨2階建 |
地域区分 | 第1種住居地域(60/200) |
工事費 | 約2億9,100万円 | 設計・施工 | 積水ハウス建設中部株式会社(旧 積和建設中部株式会社) |
1・2階平面図
1.エントランス 2.風除室 3.待合 4.応接室1 5.応接室2 6.多目的トイレ 7.男子トイレ 8.女子トイレ 9.給湯室 10.多目的室 11.会議室
12.階段室 13.倉庫 14.事務室 15.男子更衣室 16.機械室